医師に対する探索的インタビューの流れ

こんにちは。SaveMedicalブログ編集部です。

弊社ではDTx/SaMDにおいて新たなサービスを企画する際に、製品のユーザーとなる医療従事者や患者さんを深く理解することを大切にしています。本記事では、医師へのインタビューの具体的な流れについて説明します。

インタビューの目的

現在の診療における課題を深く理解することや、新たなソリューションが課題にフィットしそうかを確認することを目的としてインタビューを行います。

  • 診療フローの把握(診療ガイドラインと実態は異なるケースも)
  • 現在の診療において医師が感じている課題の把握
  • 治療法のデジタル化の必要性・可能性に対するご意見
  • ソリューション案に対する率直なご意見

医師をリクルートする

別記事に記載した方法で、インタビューさせていただく医師をリクルートします。疾患によりますが、共通点や相違点を確認するために、複数名にご意見を伺うことが多いです。

質問リストを作成する

次に、インタビュー用の質問リストを事前に準備します。患者さんに比べて、医師に対する質問事項は共通していることが多いため、過去の医師インタビューの質問リストを基に設計しています。

患者さんと同様、医師の経験や意見について深く掘り下げるため、Yes/Noで答えられないオープンクエスチョン形式の質問を中心にしています。

※質問設計の参考書:UXリサーチの道具箱

インタビューを実施する

医師へのインタビューは標準的にオンライン会議ツール(zoomやgoogle meet)、60分間、半構造化インタビューという手法で行います。半構造化インタビューとは、事前に大まかなオープンクエスチョン質問を決めておき、答えによってさらに詳細に質問を重ねていくインタビュー手法です。

患者さんとは異なり医師へのインタビューでは、事前に了承を得た上で、医療現場への理解を深めるために、弊社社員が同席させていただくことがあります。

インタビューではまず、患者さんの受診の経緯や治療の流れ、治療を行う上で感じている課題などについて伺っていきます。必要に応じて、検討中のソリューションのイメージ図を提示してご意見を伺うこともあります。

おわりに

弊社では、様々な診療科の医師に対してインタビューを行った経験があります。また、医療バックグラウンドを持つUX担当者とPdMの両者がリクルート設計からインタビューまで協力して行うことで、質の高いUXリサーチを目指しています。

DTx/SaMD Design Studioについて

Save Medicalでは、積み重ねてきたDTx/SaMDのコンセプト策定・設計開発・臨床開発ノウハウをDTx/SaMD開発支援サービス「DTx/SaMD Design Studio」として提供しています。

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DTx治験・SaMD薬事の経験者による設計開発ソリューション

患者さんへの理解を深めるインタビュー以外の方法

こんにちは。SaveMedicalブログ編集部です。

SaveMedicalでは、DTx/SaMD開発において、医療従事者や患者さんから直接お話を伺うことを重視しています。ただし、インタビューには時間と費用がかかるため、我々はインタビュー以外の方法も活用しています。

本記事では、DTx/SaMD開発において、患者さんの理解を深めるためのインタビュー以外の方法を説明します

情報収集方法

1)診療ガイドライン

診療ガイドラインには、患者さんの特性に関する情報(年齢分布、性差など)や疾患の経過、予後、発症要因、併存疾患などが記載されていることがあります。したがって、疾患調査を行う際には、治療方法や疾患だけでなく、患者さんの特性を理解するために診療ガイドラインを参照するようにしています。

2)定量アンケート

疾患によっては、過去に実施された定量アンケートの結果がウェブ上で公開されていることがあります。また、”疾患名 アンケート”というキーワードでテキスト/画像検索を行うと、表やグラフを調べることができます。

3)疾患体験記

Caloo病気体験レポートアスクドクターズなどのウェブサイトでは、患者さんの疾患体験記を検索することができます。複数の患者さんの体験記を読み、どのような問題に直面していたのか、どのように対処してきたのかを確認しています。

ただし、疾患体験記の場合、文字数が制限されていることや、病気のことを後から振り返る形で(客観的な視点で)書かれている場合もあることに注意が必要です。

4)患者さんのSNSやブログ

生に近い声を確認するために、患者さんのブログを読むこともあります。疾患発症から治療までの経過が詳細に書かれているブログからは、疾患体験記とは異なる洞察を得ることができます。ただし、高齢者に多い疾患の場合、ブログが見つからないこともあります。

情報の分析

上記の情報のうち、体験記やブログなどの定性的な情報を、共感マップと呼ばれる手法を用いて簡易的に分析します。

共感マップは、ユーザーエクスペリエンス(UX)デザインや人間中心設計の手法の一つです。この手法では、ユーザーの感情やニーズを可視化し理解するために使用されます。

具体的には、ユーザーから得られた情報を「考えていること・感じていること」「行動していること」「聞いていること」「見ていること」「ペイン(痛み・ストレス)」「ゲイン(欲しているもの)」に分解していきます。弊社の場合、FigjamMiroなどのオンラインボード上に付箋をつけて整理しています。

複数の患者さんの定性的な情報をマッピングしていくことで、疾患に共通したペイン(課題)や特徴を見出すことができます。そして、定量情報と組み合わせて、仮のターゲットユーザー像を想像していきます。

以上が、DTx/SaMD開発において、患者さんの理解を深めるためのインタビュー以外の方法です。これらの方法を適宜活用することで、多様な情報を収集・分析し、開発に役立てることができます。

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患者さんに対する探索的インタビューの流れ

こんにちは。SaveMedicalブログ編集部です。

弊社ではDTx/SaMDにおいて新たなサービスを企画する際に、製品のユーザーとなる医療従事者や患者さんを深く理解することを大切にしています。本記事では、患者さんへのインタビューの具体的な流れについて説明します。

インタビューを計画する

まず、インタビュー計画書のフォーマットに沿って以下の項目を整理します。複数人で関わることも多いため、事前にこのような準備をすることで目的意識をそろえることができます。

  • インタビューの背景
  • 現時点での患者さんの課題仮説
  • インタビューの活用目的
  • 特に確認したいこと
  • 対象患者さんの条件
  • インタビュー人数
  • インタビュー方法

※計画書作成の参考書:はじめてのUXリサーチ

適切な患者さんをリクルートする

対象患者さんの条件を踏まえ、別記事に記載した方法で、インタビューを行うのに適切な患者さんをリクルートします。リクルートには時間がかかることが多いため、質問リストの準備と並行してリクルート手続きを行います。

質問リストを作成する

次に、インタビュー用の質問リストを事前に準備します。弊社ではMiroのオンラインボードを用いて、質問を洗い出した後にカテゴライズし、質問する順番を検討しています。(Miroはオンライン上で付箋を自由に移動できるため、カテゴライズや順番の移動をするのに便利です)

初期の探索的なインタビューでは、患者さんの経験や意見について深く掘り下げるため、Yes/Noで答えられないオープンクエスチョン形式の質問を多く含むように設計しています。

※質問設計の参考書:UXリサーチの道具箱

インタビューを実施する

弊社では通常、患者さんへのインタビューはオンライン会議ツール(zoomやgoogle meet)、60分間、半構造化インタビューという手法で行います。オンライン会議ツールに慣れていない方を対象にする場合は、対面でのインタビューも行います。

半構造化インタビューとは、事前に大まかなオープンクエスチョン質問を決めておき、答えによってさらに詳細に質問を重ねていく(深掘りしていく)インタビュー手法です。

インタビューには、通常インタビュアーに加え議事録担当者も同席します。また、婦人科疾患など状況によって、患者さんが話しやすいよう、なるべく同性のインタビュアーを選ぶこともあります。

インタビューではまず、患者さんご自身の家族構成や趣味といったお話を伺い、その後、病気の発症、受診、治療の流れ、これまで受けた治療、困っていることやセルフケア方法などについて伺っていきます。感情曲線と呼ばれるグラフをオンライン上で書きながら一緒に振り返り、これまでの疾患の推移を可視化することもあります。

プライバシーと個人情報保護

患者さんのインタビューでは、病気というデリケートな話題を取り扱うことから、お話いただいた内容や情報について、社内でも限られた者しかアクセスできないフォルダに格納するなど、弊社のプライバシポリシーに基づき個人情報保護に十分に配慮しています。

おわりに

弊社では、様々な疾患の患者さんに対してインタビューを行った経験があります。また、医療バックグラウンドを持つUX担当者とPdMの両者がリクルート設計からインタビューまで協力して行い、質の高いUXリサーチを目指しています。

DTx/SaMD Design Studioについて

Save Medicalでは、積み重ねてきたDTx/SaMDのコンセプト策定・設計開発・臨床開発ノウハウをDTx/SaMD開発支援サービス「DTx/SaMD Design Studio」として提供しています。

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